「あげる」と贈与税、「貸す」なら無税。その境目を、契約書と振込の記録でつくります。しくみ・書類・15年の流れ・税務署対応まで、この1ページに集約。親子でそのまま読めます。
Intro — 親子で読む
親から子へお金を「あげる」と、1年間で110万円を超えた分に贈与税がかかります。500万円なら約48.5万円。でも「貸す」お金なら、贈与税はかかりません。
その分かれ目は、きちんと返す約束と、返している証拠があるかだけ。だからこのページでやることは、次の3つを形にすることだけです。
この500万円の、具体的な中身
お金を貸すご家族(親)へ ― 3つだけ覚えてください
※ 利息は受け取りません。無利息でも税金の問題は起きません。
これだけは守る ― 贈与とまちがわれない2つの条件
1. 期限と毎月の返済額を決めた契約書がある(「ある時払いの催促なし」「出世払い」はこの一点でアウト)
2. 貸し借りも返済も、ぜんぶ銀行振込で記録が残る(現金の手渡し・タンス預金にしない)
Step 01 → 05
First of all — Print
まず、この3つを印刷します
パソコンは Ctrl+P、Mac は ⌘+P でも印刷できます。飾りやボタンは印刷時に自動で消え、3つの書類がそのまま紙になります。あとは下の順番どおりに進めればOKです。
金銭消費貸借契約書の空欄を、次の5点をそろえて埋めます。
公証役場へ契約書を持参し、1通700円。「この日に契約書が存在した」という公的な証明になります。500万円なら取っておくと安心です。最寄りは加古川公証役場(加古川市。西脇からも車で行きやすい)。行く前に受付時間を電話で確認しておくとスムーズです。
Document 01
Wordやドキュメントに貼って空欄を埋め、2通印刷して使います。下線部分が記入欄です。
金銭消費貸借契約書
貸主 (以下「甲」という。)と借主 大江 将矢(以下「乙」という。)とは、本日、次のとおり金銭消費貸借契約を締結した。
甲は乙に対し、本契約締結日に、金5,000,000円(五百万円)を貸し渡し、乙はこれを借り受け、確かに受領した。なお、当該金員の授受は、甲名義の預金口座から乙名義の預金口座への振込により行う。
乙は甲に対し、前条の借入金を、次のとおり180回の分割により返済する。
【甲の指定口座】 銀行名 支店名 種別(普通・当座) 口座番号 口座名義
本件貸付は無利息とする。
乙が次の各号のいずれかに該当したときは、甲からの通知・催告がなくても当然に期限の利益を失い、乙は直ちに残債務の全額を甲に支払う。
乙はいつでも、その一部または全部を繰り上げて返済することができる。この場合、甲は違約金その他の金員を一切請求しない。
乙が返済を怠ったときは、乙は甲に対し、支払期日の翌日から支払済みまで、年3.0%の割合による遅延損害金を支払う。
本契約に定めのない事項、または本契約の解釈について疑義が生じた事項については、甲乙誠実に協議のうえ解決する。
本契約成立の証として本書2通を作成し、甲乙記名押印のうえ、各自1通を保有する。
Document 02
| 回 | 返済日(記入) | 返済額 | 返済後の残高 |
|---|---|---|---|
| 1 | 令和 / /末 | 27,777 | 4,972,223 |
| 2 | 令和 / /末 | 27,777 | 4,944,446 |
| 3 | 令和 / /末 | 27,777 | 4,916,669 |
| … | … | 27,777 | … |
| 60 | 5年後 | 27,777 | 3,333,380 |
| … | … | 27,777 | … |
| 120 | 10年後 | 27,777 | 1,666,760 |
| … | … | 27,777 | … |
| 179 | 令和 / /末 | 27,777 | 27,917 |
| 180 | 令和 / /末 | 27,917 | 0 |
振込のたびに実際の日付と金額を記入し、通帳またはネットバンキングの明細を15年分保管します。
Document 03
この端末にチェック状態が保存されます。進めながら消し込んでください。
Routine — 毎月
毎月27,777円を振り込んだら、その証拠を1か所にためていきます。振込した事実と親が受け取った事実の両方が残る形が理想です。
2026-10_返済.pdf のように月ごとに保存。紙派なら契約書・返済予定表と同じクリアファイルに、毎月の明細を後ろへ綴じていく。毎月の振込で守ること
Timeline — 15 years
| 時期 | やること | 残すもの |
|---|---|---|
| 契約日 | 契約書2通に署名・押印、印紙2,000円、(任意)確定日付 | 契約書の原本(将矢さんの分1通) |
| 契約後すぐ | お母さん → 将矢さんへ 500万円を振込 | 借入時の振込明細 |
| 毎月末 | 将矢さん → お母さんへ 27,777円を振込 | 毎月の振込明細 + 予定表に記入 |
| 年1回(年末など) | 予定表で残高を確認、母の通帳コピーを1枚もらう | 年1回の残高メモ・通帳コピー |
| 繰上返済したとき | 予定表の残高を書き換え、「◯月に◯円 繰上」とメモ | その振込明細 |
| 15年後・完済 | 最後の27,917円を振込。お母さんから「完済しました」の一筆をもらう | 完済確認の一筆 + 全明細 |
| 完済後 5〜7年 | 書類一式をそのまま保管(すぐ捨てない) | 契約書・予定表・全明細 |
途中でお母さんに相続が発生したら
その時点の残高(まだ返していないお金)を「貸付金」として、相続財産に含めて計算します。予定表を見れば残高がすぐ分かるようにしておけば、もめずに処理できます。借金がチャラになるわけではありません。
If asked — 税務署
もし「贈与ではないか」と問い合わせが来ても、次をそろえて見せればこれは貸し借りだと説明できます。このページの内容が、そのまま答えになります。
そろえて見せる書類
聞かれやすいこと & 答え
Reference
| 契約金額 | 印紙税 |
|---|---|
| 10万円以下 | 200円 |
| 10万円超 〜 50万円以下 | 400円 |
| 50万円超 〜 100万円以下 | 1,000円 |
| 100万円超 〜 500万円以下(今回) | 2,000円 |
| 500万円超 〜 1,000万円以下 | 10,000円 |
無利息でも、利息相当額は贈与税の基礎控除(年110万円)に遠く及ばないため、通常は課税されません。より万全にしたい場合は年0.5〜1%の利息をつけ、返済額を計算し直します。