FAMILY LOAN GUIDE

親から500万円を借りる

あげる」と贈与税、「貸す」なら無税。その境目を、契約書と振込の記録でつくります。しくみ・書類・15年の流れ・税務署対応まで、この1ページに集約。親子でそのまま読めます。

はじめに ・ 親子で読む

この取り決めのしくみ

親から子へお金を「あげる」と、1年間で110万円を超えた分に贈与税がかかります。500万円なら約48.5万円。でも「貸す」お金なら、贈与税はかかりません。

その分かれ目は、きちんと返す約束と、返している証拠があるかだけ。だからこのページでやることは、次の3つを形にすることだけです。

  1. 1
    借用の契約書を作るいくら借りて、毎月いくら、いつまでに返すかを紙に書き、親子で署名・押印します。
  2. 2
    毎月、銀行振込で返す子の口座 → 親の口座へ、毎月27,777円。手渡しにしないのがポイントです。
  3. 3
    記録を残す契約書と振込明細を保管し、あとで「これは貸し借りです」と説明できる状態にします。

この500万円の、具体的な中身

  • 貸すのは お母さん(兵庫県西脇市)/借りるのは 将矢さん(兵庫県加古川市)
  • 借りる額:500万円(母の口座 → 将矢さんの口座へ銀行振込)
  • 返し方:毎月末に27,777円ずつ、15年(180回)で完済。最終回だけ27,917円
  • 利息:なし(無利息)
  • 使いみち:子の事業・投資の資金
  • 収入印紙代 2,000円は、借りる子が負担します

お金を貸すご家族(親)へ ― 3つだけ覚えてください

  • これは「あげる」お金ではありません。15年かけて全額返ってくるお金です。
  • 契約書に住所・氏名をご記入のうえ、署名・押印(認印で可)を。毎月末、指定口座に27,777円が振り込まれます。
  • もし返済の途中で相続が発生した場合、その時点の残額は「貸付金」として、きちんと相続の計算に含めます。うやむやにしません。

※ 利息は受け取りません。無利息でも税金の問題は起きません。

これだけは守る ― 贈与とまちがわれない2つの条件

1. 期限と毎月の返済額を決めた契約書がある(「ある時払いの催促なし」「出世払い」はこの一点でアウト)

2. 貸し借りも返済も、ぜんぶ銀行振込で記録が残る(現金の手渡し・タンス預金にしない)

STEP 1 → 5

やることの順番

First of all — Print

🖨 まず、この3つを印刷します

  1. 金銭消費貸借契約書→ 2通印刷して、署名・押印・印紙2,000円
  2. 返済予定表→ 契約書といっしょに保管、返済のたび記入
  3. 手続きチェックリスト→ 見ながら順番に進める用

パソコンは Ctrl+P、Mac は ⌘+P でも印刷できます。飾りやボタンは印刷時に自動で消え、3つの書類がそのまま紙になります。あとは下の順番どおりに進めればOKです。

  1. 1
    いま

    契約書を仕上げる

    金銭消費貸借契約書の空欄を、次の5点をそろえて埋めます。

    • 親(貸主)の住所・氏名
    • 親の受取口座(銀行・支店・普通/当座・口座番号・名義)
    • 返済スタート月(契約した翌月末が目安)
    • 契約書に書く日付(署名する予定日)
    • 利息の扱い(今回は無利息)
  2. 2
    契約日 当日

    印刷・押印する

    • 完成版を2通印刷する
    • 郵便局かコンビニで収入印紙2,000円を買い、原本に貼る(2通とも原本なら2枚)
    • 印紙と紙にまたがるように消印を押す
    • 親子それぞれが署名・押印(認印で可、実印だとなお良い)
    • 2通の綴じ目に契印(割印)を押し、1通ずつ保管
  3. 3
    契約日 当日〜翌日 ・ 任意

    確定日付をとる

    公証役場へ契約書を持参し、1通700円。「この日に契約書が存在した」という公的な証明になります。500万円なら取っておくと安心です。最寄りは加古川公証役場(加古川市。西脇からも車で行きやすい)。行く前に受付時間を電話で確認しておくとスムーズです。

  4. 4
    契約後 数日以内 ・ 同じ月のうちに

    500万円を振り込んでもらう

    • 親の口座 → 自分の口座へ振込(現金手渡しにしない)
    • 振込メモに「貸付金」と入れてもらう
    • 年をまたがないよう、Step 2〜4を同じ月内で終える
  5. 5
    翌月末から毎月

    返済を始める

    • 自分の口座 → 親の口座へ毎月27,777円を振込(振込人は必ず自分名義)
    • 銀行の「定額自動送金」を設定すると払い忘れがない
    • 毎月の振込明細を保存し、返済予定表の記録欄に記入
書類 1

金銭消費貸借契約書

Wordやドキュメントに貼って空欄を埋め、2通印刷して使います。下線部分が記入欄です。

Contract

金銭消費貸借契約書

書類 2

返済予定表(契約書の別紙)

Schedule

合計:27,777円 × 179回 + 27,917円 = 5,000,000円

返済日(記入)返済額返済後の残高
1令和 / /末27,7774,972,223
2令和 / /末27,7774,944,446
3令和 / /末27,7774,916,669
27,777
605年後27,7773,333,380
27,777
12010年後27,7771,666,760
27,777
179令和 / /末27,77727,917
180令和 / /末27,9170

振込のたびに実際の日付と金額を記入し、通帳またはネットバンキングの明細を15年分保管します。

書類 3

手続きチェックリスト

この端末にチェック状態が保存されます。進めながら消し込んでください。

Checklist
0 / 9
毎月の記録

毎月の記録:どう残す

毎月27,777円を振り込んだら、その証拠を1か所にためていきます。振込した事実親が受け取った事実の両方が残る形が理想です。

  1. 1
    振込のたびに保存するものネットバンキングの「振込完了」画面をPDFかスクショで保存(日付・金額・振込人名義・受取人が写っているもの)。通帳派なら毎月記帳。加えて、返済予定表の記録欄に実際の振込日と金額を書き込む。
  2. 2
    置き場所を決めておくPCに「親からの借入」フォルダを作り、2026-10_返済.pdf のように月ごとに保存。紙派なら契約書・返済予定表と同じクリアファイルに、毎月の明細を後ろへ綴じていく。
  3. 3
    年に1回、まとめて確認年末などに残高を予定表で確認し、お母さんの通帳のコピーを1枚もらっておく(お金がちゃんと入っている記録)。繰上返済した月は、予定表の残高を書き換えてメモを残す。

毎月の振込で守ること

  • 振込人の名義は必ず将矢さん本人の名前にする
  • 振込のメモ(摘要)に「ヘンサイ」「貸付金返済」と入れると分かりやすい
  • できれば毎月同じ日(末日など)に振り込む。定額自動送金にすれば明細も毎月同じ形で自動で残る
  • ボーナス等でまとめて多く返した月も、その分を予定表に記入して残高を更新
これからの15年

これからの15年、ぜんぶの流れ

契約から完済、その後の保管まで。各時期に「やること」と「残すもの」。

時期やること残すもの
契約日契約書2通に署名・押印、印紙2,000円、(任意)確定日付契約書の原本(将矢さんの分1通)
契約後すぐお母さん → 将矢さんへ 500万円を振込借入時の振込明細
毎月末将矢さん → お母さんへ 27,777円を振込毎月の振込明細 + 予定表に記入
年1回(年末など)予定表で残高を確認、母の通帳コピーを1枚もらう年1回の残高メモ・通帳コピー
繰上返済したとき予定表の残高を書き換え、「◯月に◯円 繰上」とメモその振込明細
15年後・完済最後の27,917円を振込。お母さんから「完済しました」の一筆をもらう完済確認の一筆 + 全明細
完済後 5〜7年書類一式をそのまま保管(すぐ捨てない)契約書・予定表・全明細

途中でお母さんに相続が発生したら

その時点の残高(まだ返していないお金)を「貸付金」として、相続財産に含めて計算します。予定表を見れば残高がすぐ分かるようにしておけば、もめずに処理できます。借金がチャラになるわけではありません。

もしものとき

税務署から連絡が来たら

もし「贈与ではないか」と問い合わせが来ても、次をそろえて見せればこれは貸し借りだと説明できます。このページの内容が、そのまま答えになります。

そろえて見せる書類

  • 金銭消費貸借契約書の原本(日付・署名押印・印紙つき)
  • (あれば)確定日付の記録
  • 借入時の振込明細(母 → 子、500万円)
  • 毎月の返済の振込明細(子 → 母、27,777円がずらっと並ぶもの)
  • 返済予定表(記入済み)
  • 母・将矢さん双方の通帳(お金の動きが一致していること)

聞かれやすいこと & 答え

  • 「本当に返している?」→ 毎月ほぼ同じ日に同額の振込記録があります
  • 「返せる収入がある?」→ 事業・投資の収入で毎月27,777円は無理なく払えます
  • 「なぜ無利息?」→ 親子間で、利息相当額は年110万円の基礎控除に収まるため。課税上の問題はありません
  • 「途中で親が亡くなったら?」→ その時点の残高を貸付金として相続財産に含めます
参考

収入印紙 早見表

金銭消費貸借契約書に貼る印紙税額(契約金額別)

契約金額印紙税
10万円以下200円
10万円超 〜 50万円以下400円
50万円超 〜 100万円以下1,000円
100万円超 〜 500万円以下(今回)2,000円
500万円超 〜 1,000万円以下10,000円

無利息でも、利息相当額は贈与税の基礎控除(年110万円)に遠く及ばないため、通常は課税されません。より万全にしたい場合は年0.5〜1%の利息をつけ、返済額を計算し直します。